「資質・能力」と学びのメカニズム

 コンテンツ・テストのスコアに現れる要素的知識の単なる所有は、質の高い問題解決の十分条件ではなかったのです。
 では、何が職務上の業績を予測するのでしょうか。この探求に際してマクレランドは、卓越した仕事ぶりを示す職員と凡庸な業績しかあげられない職員を国務省に選んでもらうとともに、職員に詳細な面接を行います。その結果、以下の3つが、卓越した職員を凡庸な職員から区別する要因としてみなされました。
①異文化対応の対人人間関係感受性:異文化に属する人たちが語り、意味することの真偽を聞き取る能力、彼らがどう対応するかを予測する能力。
②他の人たちに前向きの期待を抱く:敵対する人も含め、全ての他者の基本的な尊厳と価値を認める強い信念、さらにストレス下でもこの前向きの信念を保ち続ける能力。
③政治的ネットワークを素早く学ぶ:そのコミュニティーにおいて誰が誰に影響を及ぼしており、各人の政治的、権力的立場がどのようなものかを素早く察知する能力。P57