「資質・能力」と学びのメカニズム

 以上、有意味学習、オーセンティックの学習、明示的な指導という、「主体的・対話的で深い学び」を実現するための3つの事業づくりの原理について見てきました。
 三つの原理は、理念的にはそれぞれに独立してはいますが、実際の授業づくりやカリキュラム作りという営みにおいては、複合して用いたり、組み合わせて用いたりします。
 まずもって、子供の既有知識を足場に学びを生み出すという有意味学習の考え方は、すべての授業づくりの規定に位置付くものです。オーセンティックな学習でも明示的な指導でも、この原理は適用されるべきですし、もちろん適用可能です。
 また、明示的な指導が真に奏功するためには、オーセンティックな学習経験のあることが必須の要件になってきます。本物の社会的実践に近い、自分事の豊かな学習経験があるからこそ、その1段抽象化した意味をたとえ教師がリードして抽出し手渡したとしても、なお子供たちはそれを自分の宝物と感じることができるのです。