街場の文体論

でも、「個体識別できない」というのは言い方を変えると「いくらでも替えが効く」ということです。ひどい言い方をすれば、「いなくなっても誰も気がつかない」ということです。エクリチュールの及ぼす標準化圧力に対してあまりに無自覚だと、人間としての扱われ方が雑になるというリスクを引き受けなければならない。そういうことです。(文春文庫 pp.128-129)ミシマ社,2012.5