「日常性の壁」焼き直し作文

安部公房著「日常性の壁」の構造を示して、その構造に当てはめて書き直させる作文を課題にした。その優秀作。

 一般的には蛇への嫌悪感の正体は、人類の太古記憶と思われているが、実はそれは間違いである。その理由は二点ある。一つ目は「蛇は天敵ではない」、二つ目は「記憶は遺伝しない」である。また、蛇への嫌悪感の正体は実は、当然あるべきものの欠如から来る違和感である。その理由は「日常性の欠如」である。
 まず、蛇への嫌悪感の正体は人類の太古の記憶ではないことについて説明する。その理由の一つ目は「蛇は天敵ではない」である。なぜなら、人類の祖先は樹上生活をしておらず、地上にいたので、真の天敵は肉食の四足獣だった。だから、猛獣に蛇のような嫌悪感を抱かないということは、「天敵だから嫌悪感を抱いた」というのは誤りだ。
 その理由の二つ目は「記憶は遺伝しない」である。後天的に得た形質が遺伝するという学説はあるが、記憶が遺伝するという説は、まだ出ていない。だから、「記憶が遺伝して嫌悪感を抱いた」というのは誤りだ。
 最後に蛇への嫌悪感の正体は実は当然あるべきものの欠如から来る違和感であることを説明する。その理由は「日常性の欠如」である。蛇は幽霊と同じ恐怖を与える。犬や猫みたい人間と同じ手足を持っておらず、擬人化するのがひどく困難で、内側からその日常を想像するのが難しい。人間にとって、その日常を想像できないということはひどく不気味なことである、その不気味さが蛇への嫌悪感につながるので、蛇への嫌悪感の正体「日常性の欠如」である。